金融機関に勤める著者は、週末や平日の夜などを利用して
貧困をなくすために立ち上がる。
業務で活かした金融やビジネスの専門スキルを活かし、カンボジアの貧しい村へ
小口融資を行ったり、児童介護施設を改善するために活動する。
彼を突き動かしたのは、"2.4%"という数字と、
ネットなどによるコミュニケーションの(以前と比べて)圧倒的な利便さ、
そして、誰よりも熱いパッションだった。
"2.4%"という数字
経済学者によると、
「極度の貧困を持続可能な形で終わらせるために必要な年間支出は、
先進国の人々の所得2.4%」
だという。これが小さいようで大きな数字だ。
例えば年収一千万円の人が、年間24万円も寄付をするだろうか?
年収500万円の人は12万円寄付する?
この記事(http://jp.blogs.com/2010/03/tax.html)によると
一般的なサラリーマンは、年収に対して約12%の税を納めている
わけだけど、(個人の善意にもよるが)2.4%って、
小さいようで大きい額だ。また、国家の単位になると、
個人で賄うには到底及ばない。
孫さんが100億寄付したとかで話題になったが、
日本の全員の所得の2.4%は流石に1人で負担することは出来ないだろう。
だが、多くの人に賛同してもらえれば、何とかなるかもしれない。
そんな希望を抱くのには十分な数字だといえる。
ネットの利便性
Eメールも、電話も、24時間タダで使えるし、電話会議をする為の
ウェブアプリケーションなどもあるから、実際に一箇所に集まらなくても
打合せ、個人作業は出来るようになった昨今。
こうした利点をフルに活用し、若くて優秀な著者やその仲間たちのような
ビジネスパーソンは、本業の傍ら活動していた。
生産的に、且つ、本業の専門知識を活かして、効率よく
プロのクオリティのものを。
メンバーも、金融、IT, コンサルタント、など様々。
まるで、一つの会社のよう。
こうして「バーチャル・カンパニー」ともいえるNPOが生まれたのだった。
誰よりも熱いパッション
「もし誰も手伝ってくれなくても自分ひとりでやる」
本書の最後に書かれていたが、激務で知られる外資系金融機関に勤める傍ら
こうした社会貢献をするのには、誰よりも熱いパッションがあるからだ。
在日韓国人である著者。高校卒業するとき、家庭の事情で
大学へ進学できない友人の姿を見て、自分が人一倍頑張ろう
と決意したと書いてあった。思わず、胸が熱くなってしまった。
ニートをしていた時期もあったという。
自分を照らし合わせてみた。同じ思いは、ある。
でも、僕に何ができるだろう?
最後に、貧困という問題が、日本という先進国でも身近にあるということ、
そして、更に深い問題があるのだと考えさせられた言葉を引用する。
「だれからも必要とされず、だれからも愛されていないという心の貧しさ。
物質的な貧しさに比べ、心の貧しさは深刻です。
心の貧しさこそ、一切れのパンの飢えよりも、もっともっと貧しいことだと思います。」
マザー・テレサ