Sunday, September 12, 2010

挑戦は続く。

以下、Sep/10の日経新聞から抜粋。現在プロジェクトで関わっている自動車ドライバーの安全性をいかにして保障するか、という問題
に、似たようなロジックを使っていたので、スクラップしてみた。
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日々経験するつまづきの問題を、双曲割引という概念で説明してきた。
先送り問題の原因である双曲割引を正しく認識す ることから、行動修正へのインセンティブ(動機付け)が生まれる。
問題を自覚している人は自らの工夫で先送り問題を 修正したりすることで、問題を軽減出来る事も見た。ただそれだけでは十分ではない。特に自覚に乏しいナイーブ(自信 過剰)な人には、何らかの公的な対策が必要だろう。
近年、行動経済学の立場で米シカゴ大学のセイラー教授らが
「リベタリアンパターナリズム(自由主義的温情主義)」と いう考え方を提唱して注目され、
実際、米国の401k型年金の自動加入制度などに結実している。
これはなるべく人々の 自由な意思決定を維持しながら、必要とする人々が後悔しない正しい選択ができるよう、
強制や押し付けをせずに効果的 な誘導(ナッジ)やきっかけを提供する考え方で、前回紹介した現場での実験もこの一例だ。
本連載ではまた、マクルアー教授らの脳研究に基づき、
双曲割引や準双曲割引をギリシャ哲学以来の理性と情動の対立と してとらえてきた。
だが彼らの研究に否定的な米ニューヨーク大学のグリムチャー教授らの研究もあり、必ずしも決着を 見ているわけではない。
北海道大学の高橋泰城准教授は、人間の時間感覚は短い時間には大きく反応し、
長い時間感覚にはあまり反応しなくなる という心理経験則(ウェーバー・ファヒナーの法則)に注目した上で
ニコチンや麻薬などの中毒財の摂取が時間感覚の神経プロセスをより双曲型にする点から自制力の低下を説明出来るという。
これは人間の時間感覚特性が人々の現在重視度や自制力に関係があることを示している。
教育や経験によって認知能力が向上し、感覚と実際のズレに関する自覚が深まる。
それだけに これらの研究は、先送り問題のような自分の将来の幸福・満足に反する誤った行動を適切に自制、
修正する上での教育や 経験の重要性を改めて示している。
人間の認知能力(知能)や感覚特性の効果も含め、 今後注目される分野のひとつだろう。
その際の心配の一つは、教育の行き過ぎであろう。
いくら自制力を高めるといっても極端なアリ型では困る。その行き着く先は、守銭奴や過労死などかもしれないからである。
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ダニエル・ピンク著の「モチベーション3.0」にも書かれている様に、人々に新しい形で動機を与えることは重要である。
しかし、多くの場合、自由=放任となってしまい、しかるべき責任が放棄されてしまうような状況が起きてしまう。
この事に関しては改めて、規正の管理の方法と、新たな動機によるモチベーションの管理が重要だと本では説明されている。
そのバランスの最適な曲線とは何か.
その最適された境界をシミュレーションにより出す事ができるのか。
挑戦は続く。