今年のはじめ。起業家である人物の講演会にて、失礼を承知で以下のように質問した。
「すべての人が起業する訳ではないという前提の上で、たとえば、大企業で働くサラリーマンにとって、アントレプレナー・スピリットは存在しうると思いますか」
若き起業家は、私の投げたボールをしっかりとキャッチするように、頭の中で「想定問答」を行ってから、以下のように答えた。
「どんな人にもアントレプレナー・スピリットは存在する。組織の一員として働いていてもそれは同じであり、大企業で働けばそれだけ大きなインパクトを与えることができる。私も制約の中で働いており、それは毎回頭を悩ませる原因となるが、制約の中でやりぬくことに意義も感じている。」
また、仕事上のパートナーである方にも触れ、長く大企業で、会社だけではなく業界全体のために働いてきた事例を挙げ、それは改めて、「仕事」ということについて深く考えさせられるきっかけとなった。
今日、ヤンミ・ムンの書いた「ビジネスで一番、大切なこと -消費者のこころを学ぶ授業 -」を読んでいたら、面白い表現に出会った。
「コメディアンのジョージ・カーリンは、シニカルだと言われるのを嫌っていたという。誰かがそういうたび、自分は『失望した理想主義者』だと訂正した。その区別は彼にとって大切だった。」
失望した理想主義者。
どこかノスタルジックな響きが、なぜか、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を思い出せた。
最近、自分の身の回りにInspiringなひとが多い。そして、最近、自分の身の回りの人がInspiringだと気づくことが多い。
今日、廊下を歩いていてふとそのことに気づいたのだった。
そして、こんどから、良いと思ったことはできるだけ、そう口にしよう、と思ったのだった。