Sunday, October 17, 2010

Creep

今回は、よく高校生の頃に良く聴いた音楽って、
ものすごく大事だよねという話。

自分の場合は、レディオヘッドなんじゃないか、と思っている。
レディオヘッドを聞き始めたのは、2000年くらいからだったと記憶している。
たぶん、高校1年生とか。

その時から、音楽を聞くのと同じくらい、
アーティストのインタビューを読んだり、
歌詞の意味を理解したり、
小難しい本を読んでみたり、等等。。。
レディオヘッドを通じて、興味ややることが一気に広がった。
世の中に対する批判的な見方や考え方、
アートと政治性、そして芸術家が作品に込める完璧さ。。。
多感な時期にこうした広い視点を持ったアーティストに出会い、
青春のサウンドトラックとして過ごす事が出来たのは良かった。

レディオヘッドを聞いていなければ、
ナオミ・クラインのNo Logoは読んでいなかっただろうし、
Noam Chomskyの本も読んだりはしなかっただろう。
学校の勉強は殆どしなかったんだけど、
自分の興味ある事はとことんやるタイプなので、
どんどんのめり込んでいった。彼らの政治だったり、
思想だったりという面は、自分の興味範囲を広げてくれた。
後に大学生になったときには、思想の源泉を学ぶべく、
大学で哲学などを学んだりしたのもその為だ。
そのことを、このブログを書きながら、
「あーそうだったんだな」なんて、感じている。
これが、「自分のルーツ」ってやつなんだな、
と改めて(というか実質的には初めて)認識したのだった。

ただ、最近レディオヘッドから心が離れていた。自然とあまり聞く機会もなくなってしまった。昔は、それこそ毎日のように聞いていたのに。。。


理由としては、
彼らの音楽的なピーク(に関しては色々な意見があるだろうけど)
も関係しているだろうし、
仕事を始めたり、
ジャズやクラシックだったり、
もっと洗練された「大人な」音楽に興味が映ってきたからかもしれない。

それから、
最後にレディオヘッドを見た時に、なぜか、かなりひいてしまったので、そのせいもある。かなりひいてしまったというのは、、、
2年ほど前にRadioheadがさいたまスーパーアリーナにきた時に「あーもうなんかゴシックになっちゃってるよな完全にレディオヘッドって」と思ってしまった。端から見ると、その集団が非常にオタッキーで、マニアックな感じが全面に出てて。。。「ああ、自分はここには属していないんだな」とはっきりと認識してしまったからだった。

ただ、「もともとそうだったのに、今頃自分が気付いただけなんじゃないか」と聞かれたら「ああ、それもそうだね」と合点がいく。

そして、自分が以前、このグループと同じ場所にいたのかと思うと、少しいたたまれなくなり、それが結果的に、距離を置く行為につながっていったというわけ。

そんな中、偶然にも、Facebookの友人がリコメンドしているビデオで、このMacy Grayがカバーしているバージョンを聞いた。


おお、Creep、いいねえ、と改めて思い直した。この曲を聞くと、10代の頃のことを思い出す。思えば、10代の様々なシーンで、この曲がサウンドトラックとして流れていた気がする。何百回もギターで練習したっけなあ。恥ずかしい思い出や、思い出したくない事まで記憶がよみがえってくる。

自分がこの曲の中で、好きなのは、歌詞に出てくる"I don't belong here(ここは自分の居場所ではないのに)"というフレーズ。思えば、ある時期から、自分は、いつも「自分の居場所」ではない所で生活してきた気がしている。そして、この"I don't belong here"感は、自己形成や意思決定に大きく影響している。そんなことを再認識。

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*ちなみに、"I don't belong here"という歌詞の由来は由来は、実話に基づくものだそう。
以下http://d.hatena.ne.jp/fakeplasticlove/20060322/1143035947 より。

”「その時、僕が経験していた障害の多い恋愛関係から生まれた」曲らしい。トムの学生時代、オックスフォードには二つのミュージックシーンがあった。トムとは違うミュージックシーンに住む女性に恋していて、その二つは巡り合うことがないものだとトムは思っていたという背景がこの曲の「ここは僕の居場所じゃないのに」というような歌詞の裏にあるようだ。”
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この曲は、秋の夜長にも調度いい。
涼しくなってきたから、こういうドン底までに破滅的な恋の歌を聞こう。キャッチーな流行の歌もいいけれど、こういう音楽をたまには聞いてみるのもいい。

きっと、平安時代の人が源氏物語を読んだのも、シェイクスピアが読まれるのも、レディオヘッドのCreepを聞く理由とそんなに変わらないんだろうな、と勝手に想像する。
それは、時代や性別を超えたProminentな何かがあること。古代から人は、悲劇を娯楽として楽しむ下世話な趣向をもっていた。。。

Macy GrayがカバーしたCreepを聞いて、いろいろな思いが頭を駆け巡ったのだった。